逆流性食道炎とは強い酸性の胃酸や消化中の食べ物が食道に逆流してとどまることによって食道が炎症を起こし、びらんや潰瘍を生じさせる病気のことを言います。もともと日本人に少ない病気であったものの現在、食生活の変化などによって患者数が増加しており、1980年代には患者数が1.6%前後であったのに対して2000年代には13.1%にまで上昇しています。
逆流性食道炎は種類がないものの類似している疾患で非びらん性胃食道逆流症があります。これは強酸の胃内容物が食道に逆流して胸やけなどの不快な症状が起こることですが、逆流性食道炎のようにびらんや潰瘍を形成しないことが特徴となります。
逆流性食道炎となる原因は胃酸や胃内の食物の逆流ですが、それらを引き起こす原因となるのが、下部食道括約筋という筋肉の機能障害です。下部食道括約筋は胃と食道の境目に存在し、食事中は弛緩して食物を胃まで速やかに流し、消化中は収縮して胃内容物が逆流しないようにする働きをします。この圧が低くなることによって消化中も下部食道括約筋が弛緩して逆流を起こしてしまいます。
下部食道括約筋が機能障害を起こす原因は脂質やたんぱく質の多い食事のとりすぎ、食事の食べすぎ、加齢、肥満、背中の曲がった体勢、喘息、血圧、心臓病に伴う薬の内服とされています。
逆流性食道炎の症状は胸やけと呑酸(胃の内容物が胃から喉元まで上がってきて、再び下がること。口やのどに酸っぱい、あるいは苦い感じが込み上げてくる)です。
特に空腹時や夜間の胸やけが特徴です。他にも、胸の痛みや胃の痛み、げっぷ、口の中の苦みや咳、声がかれることなどがあります。
逆流性食道炎は現在治療によって改善することが可能な疾患です。一方で、放置をしておけば悪化することもあります。また、医療機関を受診せずに症状が改善したとしても再発することもあります。自己判断で経過をみず、胸やけなどの症状が出現している場合は新宿駅前にある当院内科にご相談下さい。
逆流性食道炎の治療は生活習慣の改善、薬物療法、手術があります。生活習慣の改善では胃酸のですぎを抑え、肥満を解消するための低脂肪食とし、胃酸の分泌を促進する脂っこい食事や、刺激の強いもの、アルコールは極力避けて禁煙を指導します。また、前かがみにならないようにし腹部を圧迫する服装やコルセットなどを避けるように指導します。また、腹圧を下げるために便秘を解消するのも治療の1つとなります。
薬物療法では、プロトンポンプ阻害薬を使用して胃酸の分泌を抑えることで改善が見られます。手術では胃や食道の位置を元に戻したり、新たな逆流防止弁を形成するなど形成的な手術を行います。(当院内科ではおこなっておりません)新宿にある当院内科ではプロトンポンプ阻害薬などの内服薬の処方をおこなっております。
逆流性食道炎を予防するためには一度にたくさん食べすぎないことを意識しましょう。一度にたくさん食べすぎると筋肉が緩みやすくなってしまうからです。
また、食後2~3時間は横にならないように意識し、食事中や食後には腹部を圧迫するような体勢とならないようにしましょう。更に飲酒や喫煙を控えることでも予防につながります。
逆流性食道炎がいつからどのように発展してきたのか、明確な資料はなく不明とされています。しかし、逆流性食道炎は元々欧米人に多く日本人には少ない疾患とされてきました。逆流性食道炎はヘリコバクターピロリ菌に感染すると起こらない疾患と言われており、その理由としてヘリコバクターピロリ菌に感染すると胃酸の分泌量が減少するため逆流をしないという考え方からです。
日本人はヘリコバクターピロリ菌の感染者が多かったことや公衆衛生が発展していなかったこともあり、昔は逆流性食道炎の患者数が少なかったようです。 食の欧米化および公衆衛生の発展が逆流性食道炎の患者増加につながっているようです。